歯がグラグラする・痛いときの原因とは?治療方法と対処法を解説
歯のぐらつきは、歯周組織の退化によって引き起こされてしまいます。歯周組織に張りがあり、喫煙によるリスクも少なければ、いつまでも健康な状態が保てます。
万が一歯がグラグラして痛いときは、歯周病やその他の原因を考慮しなければなりません。早期にクリニックを受診する必要がありますが、考えられる原因と治療方法についてもチェックしておきましょう。
この記事では、歯がグラグラして痛みがあるときの原因と治療方法を紹介します。
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目次
歯がグラグラして痛いときの原因と治療方法
歯がグラグラして痛いときは、歯肉のトラブルである歯周病をはじめ、5つの原因が考えられます。それぞれの原因と治療方法をチェックしていきましょう。
原因①歯周病が進行している
歯茎が歯周病菌の侵入を受けると、歯周組織が細菌を追い出そうとして体の免疫機能に働きかけ、「歯肉炎」という炎症が発生します。
歯肉炎の原因である歯周病菌に対処せず放置していると、炎症が進んで「歯周病」へ進行します。歯を支えていた歯茎が下に下がっていき、土台として歯を支えている歯槽骨も溶け出していきます。歯がグラグラしている状態は、このような歯周病の影響が考えられます。
治療方法
歯周病によって歯がグラグラしたときは、まず患部の状態をチェックします。歯肉が大きく下がったり、歯槽骨が溶け出したりしている状態はすでに中程度以上のレベルと判断できます。
歯槽骨など、必要な組織が溶けてしまった場合は「歯周組織再生療法」で骨を再生する治療が行われます。抜歯は歯周組織が完全に歯を支えられず、再生療法も受けられない場合の手段として検討されますが、患者さんごとの症状やぐらつきの程度にもよるため、必ず抜歯をしなければならないわけではありません。
こちらの記事では、歯周病の症状と予防法について解説していますので合わせてご覧ください。
関連記事:歯周病の症状・原因と今日から取り組める4つの予防法
原因②歯の根が割れている
食いしばりや歯ぎしり、その他の原因で歯根が割れてしまったときも、歯を支える機能に異常をきたし上部がグラグラとしてきます。
割れの程度にもよりますが、歯には常にものを噛む、発話するといった行動によって力がかかるため、軽度なヒビ割れでも放置せず早期に治療を行わなければなりません。
治療方法
割れてしまった歯根は自然に元に戻ることはなく、歯根のみを完全に再生させる方法も存在しないため、破折の状態が小さいケース以外では抜歯が選択肢となります。元の割れた歯を抜いたあと、インプラントやブリッジで人工的な歯根に置き換えることになります。
原因③歯の根の先に膿が溜まっている
歯根の先にまで膿が溜まるケースというのはすでに歯周病が進行しており、重篤な歯槽膿漏の可能性があります。免疫細胞と細菌が戦った結果膿となり、それらが歯根に溜まっている状態です。
根尖性歯周炎や歯周嚢胞と呼ばれる歯周病の症状のほかに、辺縁性歯周炎や智歯周囲炎といった炎症が関係して発生します。
治療方法
原因となった症状や患部の状態にもよりますが、細菌感染を起こしている部分はすべて除菌し、取り除く必要があります。骨にまで歯周病菌が達している場合は患部を取り除いてから再生治療を実施するなど、必要に応じて外科的な治療を行います。
原因④被せ物や土台の接着剤が劣化している
歯の根元ではなく、歯根より上の部分がグラグラするときは、被せ物の劣化も考えられます。なんとなく噛み合わない、ぐらついているような気がするといった場合には、治療した歯でも何らかの原因で被せ物が合っていないかもしれません。
差し歯をしている方は、土台部分に使っている歯科用接着剤が劣化し、歯を留められていない場合もあります。
治療方法
被せ物や土台の接着剤が劣化しているときは、一度材料を外して被せ直しや詰め直しを行う必要があります。年数の古いものほど再治療が必要になるため、かかりつけの歯科クリニックで相談を行ってください。
原因⑤歯ぎしり
歯周病にかかっていなくても、歯ぎしりによって歯に圧力や力がかかり、歯がぐらつくケースがあります。歯根の割れや欠け、歯槽骨をはじめとする骨へのダメージ蓄積によって歯が動揺し、抜けやすくなるケースもみられます。
治療方法
歯ぎしりが直接の原因であれば、マウスピースの装着や矯正治療によって改善が期待できます。ストレスや枕の高さといった、歯ぎしりを引き起こす原因を取り除く方法も有効です。
歯がグラグラして痛い場合の対処法
歯がグラグラして痛い場合は、大きく分けて3つの対処法が検討できます。それぞれの方法をチェックしていきましょう。
方法①硬いものや粘着性のあるものを控える
歯がグラグラしているときは、ヒビ割れの進行を予防するために硬いものを噛むのは避けましょう。粘着性のあるものも、ぐらついている歯がくっついて取れてしまう可能性があります。
方法②鎮痛剤を服用する
痛みや炎症が出ているときは、鎮痛剤を服用して様子をみてください。ただし鎮痛剤で痛みが収まったからといってそのままにせず、症状が悪化しないうちに医療機関を受診するようにしてください。
方法③歯科医院を早めに受診する
緊急性の高い症状はすぐに歯科クリニックを受診しましょう。夜間救急など、24時間体制で歯科診療を行っている病院でも対処してもらえます。
抜歯やその他の外科的な治療が必要かどうかは、検査を受けて専門医による診療を受けなければ対処ができません。放置していると抜歯になってしまうリスクもあるため、かかりつけの歯科医院、専門医を可能なかぎり早くに受診しましょう。
被せ物や接着剤の劣化も、そのまま放置していると歯が正しく使えないため、少しでも気になるぐらつきや症状は放置するべきではありません。
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グラグラとしてきたら専門医に相談
今回は、歯がグラグラ(動揺)したときの原因と対処法について紹介しました。
歯のトラブルといえば虫歯が思い浮かびますが、グラグラ感については歯茎や骨といった歯の周辺に問題が発生して起こるために、詳細な検査やチェックが必要です。
歯ぎしり・歯周病・歯根に膿が溜まっている状態と、人によって原因や対処法が異なるため、気になる症状は早期発見・早期治療を意識し、専門医やかかりつけのクリニックに相談を行ってください。
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コラム監修者
資格
略歴
- 1997年 明海大学 歯学部入学
- 2003年 同大学 卒業
- 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
- 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
- 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
- 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
- 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
- 2008年 医療法人社団世航会 設立
- 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
- 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
- 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
- 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
- 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系 入学