歯周病の予防にマウスウォッシュは役立つ?使用方法も紹介
日常的にマウスウォッシュを使っているものの「歯周病の予防に本当に効果があるのかな」「使い方が合っているのかがよくわからない」と思われていませんか?
実は、使い方によっては、マウスウォッシュの効果が半減してしまう可能性があります。
今回は、歯周病の予防にマウスウォッシュは役立つのかという疑問に答えるとともに、正しい使い方を紹介します。
口内環境をいつまでも健やかに保ちたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
マウスウォッシュとは
マウスウォッシュ(洗口液)は、清涼感のある液体で、口内をすっきりとさせられるオーラルケア用品です。
歯磨きのあとに適量を口に含んで、20~30秒ほどゆすぐことで口内をケアできます。
マウスウォッシュとデンタルリンスの違い
マウスウォッシュと同じ液体のオーラルケア用品に、デンタルリンス(液体歯磨き)があります。
2つのアイテムは一見すると似ているようで、使用するタイミングに違いがあるのをご存じでしょうか?
マウスウォッシュは歯磨きしたあとに使用すると、細菌の増殖や口の中のネバつきを抑えられます。
一方で、デンタルリンスは、歯磨きの前に適量を口に含んでゆすいだあとに、ブラッシングすることで歯垢を落とせるアイテムです。
つまり、マウスウォッシュは歯磨きのあとに使用するのに対し、デンタルリンスは歯磨きの前に使用するという点において大きく異なります。
どちらのアイテムなのかを表記をきちんと確認したうえで、購入してくださいね。
マウスウォッシュは歯周病の予防に役立つのか?
マウスウォッシュをうまく使用すると、歯周病の予防に役立ちます。
ただし、マウスウォッシュだけで歯周病は予防できないので、歯磨きをしっかりと行うことが何よりも重要です。
使い方によっては、かえって効果が薄くなってしまう事態にもなりかねません。
マウスウォッシュの正しい使い方については、のちほど詳しく説明します。
なぜマウスウォッシュだけでは歯磨きの代わりにならないのか?
マウスウォッシュには歯垢を取り除く効果はないため、歯磨きの代わりになるものではありません。
あくまでもマウスウォッシュは、歯磨きしたあとの補助的なものとして使用します。
たしかに使用後は口の中がすっきりとしますが、歯垢が残っていれば歯周病や虫歯の原因になるからです。
また、マウスウォッシュは医療用医薬品ではないので、歯周病を治す効果は期待できません。
ですので、口内のトラブルの予防として、マウスウォッシュを歯磨きとうまく併用しましょう。
マウスウォッシュを選ぶ際のポイント
マウスウォッシュにはさまざまな種類があるので、「どれを選べばよいのか迷う」「自分に合ったものを知りたい」と思われるかもしれません。
せっかく口内ケアするのであれば、適切なアイテムを選びたいところです。
そこでここからは、マウスウォッシュを選ぶ際に押さえておきたい、3つのポイントを紹介します。
ポイント①お口の悩みに合った成分が配合されているかを確認する
マウスウォッシュを選ぶ際は、配合されている成分に注目しましょう。
パッケージに成分表が記載されているので、購入時にチェックできますよ。
ここからは、よくある口内のお悩みごとに、効果的な成分を紹介していきます。
歯周病や虫歯が気になる
歯周病や虫歯が気になるのであれば、それぞれに予防効果が期待できる成分が配合されているマウスウォッシュを選んでみてください。
予防効果が期待できる成分は、以下のとおりです。
歯周病や虫歯が気になる方におすすめの成分
口内のトラブル | 成分名 |
歯周病 | ・イソプロピルメチルフェノール(IPMP) ・塩化セチルピリジニウム(CPC) ・グリチルリチン酸ジカリウム(GK2) ・トラネキサム酸(TXA) |
虫歯 | ・フッ素 ・デキストラナーゼ |
就寝前は、唾液の分泌量が通常よりも減って細菌が増殖しやすくなっているので、上記の成分が含まれているマウスウォッシュを使ってから寝ることをおすすめします。
口臭が気になる
口臭の原因として、歯周病や舌苔(ぜったい)という舌の上に溜まった白い汚れ、そして口内の細菌が出すガスなどが挙げられます。
口内の細菌が出すガスには、硫化水素やメチルメルカプタンがあり、これらが口から嫌なニオイを放つことで口臭となります。
細菌の数を減らすには、イソプロピルメチルフェノールをはじめとする、殺菌成分が含まれるマウスウォッシュを選びましょう。
あるいは、細菌が出すガスと結合してニオイを抑制できる、塩化亜鉛が配合されているものもおすすめです。
歯の黄ばみが気になる
歯の黄ばみが気になるなら、着色を落としやすくする成分が配合されているマウスウォッシュを選びたいところです。
具体的には、ポリリン酸ナトリウムやポリエチレングリコール、ピロリン酸ナトリウムなどが挙げられます。
特に、ポリリン酸ナトリウムには、着色を落としやすくするだけではなく、歯の表面をコーティングして、汚れの付着を防ぐ効果も期待できます。
ただし、マウスウォッシュには、頑固な着色を落としたり、ご自身の本来の歯よりも白くしたりする効果はありません。
そのため、歯科クリニックでホワイトニングの治療を受けたあとに、ご自宅でのセルフケアとして使用するとよいでしょう。
ポイント②歯茎への刺激が少ないものを選ぶ
購入時には、低刺激タイプあるいはノンアルコールタイプのマウスウォッシュを検討してみてください。
マウスウォッシュの成分が強いと、歯茎に過剰な刺激を与えてしまううえ、すでに歯茎に炎症が起きている場合は、痛みを感じることもあるからです。
低刺激タイプやノンアルコールタイプのものなら、お子さまでも安心して使うことができますよ。
ポイント③ボトルの使いやすさをチェックする
マウスウォッシュは、セルフケアとして歯磨きのあとに使用します。
毎日使うものだからこそ、ボトルの使いやすさもチェックしておきたいところです。
マウスウォッシュには、ボトルが片手でも持ちやすいように工夫されているものや、キャップがコップとして使えるものなど、さまざまな種類があります。
コップに目盛りがついていると、1回分の使用量がわかりやすく使いやすいですよ。
また、旅行や出張など外出先でも使用したい方は、100ml以下のミニサイズや、個包装タイプを購入しておくと持ち運びに便利です。
おすすめのマウスウォッシュ7選
いざマウスウォッシュを購入しようと思っても、さまざまな種類があり迷ってしまうかもしれませんね。
そこでここからは、おすすめのマウスウォッシュ7選を紹介しますので、購入時の参考にしてみてください。
リステリン クールミントゼロ
ジョンソン・エンド・ジョンソンのリステリンは世界50か国以上で販売されているので、マウスウォッシュといえば最初に名前が浮かぶ方も多いかもしれません。
豊富な商品展開のなかでも「リステリン クールミントゼロ」は、4つの薬用成分を独自処方しており、歯磨きだけでは届きにくい箇所まで殺菌し、口内を清潔に保つことができます。
抗菌力や歯肉炎に対する有用性に関しては、効果を裏付ける複数の臨床文献があります。
リステリン クールミントゼロは名前の通り、ミントの香味でノンアルコールなので、ほどよい刺激と使用後の爽快感を求めている方にぴったりです。
ボトルの中央にくびれがあって片手でも持ちやすく、小容量の100mlから大容量の1,000mlまでサイズ展開が豊富なのも魅力です。
ブレスラボ マウスウォッシュ マルチケア
第一三共ヘルスケアの「ブレスラボ マウスウォッシュ マルチケア」は、口臭・歯肉炎・歯垢の付着を予防するとうたっています。
刺激はあまりなくマイルドな使い心地で、甘みのあるミントの香味なので、刺激が苦手な方やお子さまに特に適しています。
また、四角いボトルは手へのフィット感に優れているため、コップにも注ぎやすく、片手でも簡単に扱えますよ。
クリニカ クイックウォッシュ
ライオンの「クリニカ クイックウォッシュ」は、ノンアルコールタイプで、刺激が少ないマウスウォッシュです。
ブレスラボ マウスウォッシュ マルチケアと同様に、甘みのあるマイルドなミントの香味で、強い刺激はありませんが、適度な爽快感があります。
ボトルを押すとマウスウォッシュが出てくる仕様になっていて、こぼす心配がありません。
さらに、付属のコップには目盛りがついているので、どのくらい使えばよいのかも一目瞭然です。
ピュオーラ 洗口液 ノンアルコール
花王の「ピュオーラ 洗口液 ノンアルコール」は、さっぱりとした爽快感を得られるマウスウォッシュです。
ノンアルコールタイプだけではなく、同シリーズでアルコールが配合されているタイプも販売されています。
マイルドなライムミント味で、ライムの甘みがあるので、ピリッとした刺激はあまりありません。
注ぎ口が細いノズルになっており、ピュッと押すだけで付属のコップにこぼさずに注げるのは嬉しいポイントですね。
NONIO マウスウォッシュ クリアハーブミント
ライオンの「NONIO マウスウォッシュ」は、歯磨き粉でおなじみのNONIOシリーズから出ています。
高品質な天然ミントを配合しており、フレッシュなミントの香味で、ほどよい刺激もあるため、使用後には爽快感を感じることができます。
クセのないミントのマウスウォッシュを探している方に、特におすすめです。
ただし、注ぎ口が大きくドバっと出てくることがあるので、使いやすさの面では少しネックになるかもしれません。
SUMIGAKI マウスリンスSG
小林製薬の「SUMIGAKI マウスリンスSG」は、自然由来の活性炭を配合しており、黒い液体が特徴的なマウスウォッシュです。
炭の吸着力で、口臭のニオイのもとを吸着除去するとうたっています。
見た目に反して炭の味はほとんどなく、甘みのあるクリアシトラスミントの香味なので、使う人を選びません。
注ぎ口は小さめで注ぎやすいうえ、付属のコップに目盛りがついているので、1回分を測りやすくなっていますよ。
歯科クリニック専売品のフッ素洗口液
より高い虫歯の予防効果を得たいなら、専売品のフッ素洗口液を使うのも一つの手です。
市販のフッ素洗口液には、最大225ppmまでしかフッ素を配合できないのに対し、歯科クリニック専売品のフッ素洗口液には、450ppmものフッ素が配合されているからです。
歯科クリニック専売品のフッ素洗口液は、医療用医薬品に分類されるので、ドラッグストアやECサイトでの販売は禁止されています。
そのため、市販のフッ素洗口液のほうが手軽に購入はできますが、しっかりと予防したい方は歯科クリニックでの購入を検討してみてくださいね。
マウスウォッシュの正しい使い方
マウスウォッシュの効果を発揮させるには、正しい使い方を知っておく必要があります。
歯周病の予防に役立てるためにも、次の5つのポイントを押さえておきましょう。
ポイント➀歯垢や舌苔は最初に落としておく
マウスウォッシュを使用する前に、歯垢や舌苔などの口内の汚れを落としておく必要があります。
マウスウォッシュの目的は、歯垢や舌苔などに含まれている細菌を殺菌することです。
そのため、口の中に多くの細菌が残ったままマウスウォッシュを使うと、その効果はどうしても減ってしまいます。
「歯ブラシでしっかりと磨いたから大丈夫」と思っていても、歯垢が歯と歯のすき間に残っていたり、舌苔が舌の上に溜まっていたりするかもしれません。
そんなときには、歯間ブラシやデンタルフロス、舌専用のブラシなどを取り入れると、口の中がきれいになり、マウスウォッシュの効果をさらに感じることができますよ。
ポイント②歯磨き後にしっかりと口に含ませて使う
マウスウォッシュを使用しても、すぐに吐き出してしまっては、十分な効果を発揮できません。
歯磨きしたあとに20~30秒ほど口に含んで、配合成分をすみずみまで行きわたらせましょう。
また、マウスウォッシュの使用後に水でうがいをすると、成分が流れてしまうのでできるだけ控えてくださいね。
ポイント③使用後は飲食を控える
マウスウォッシュの効果を持続させたいなら、使用直後の飲食は避けたほうが賢明です。
せっかくマウスウォッシュで殺菌しても、すぐに飲食すれば、再び細菌が増えてしまうからです。
配合成分を口の中にできるだけ留めておくためにも、使用後少なくとも30分間は、飲食を控えることをおすすめします。
ポイント④口の中にトラブルがある場合は使用を控える
歯茎に炎症や出血などの傷があるときにも、マウスウォッシュを使用していませんか?
マウスウォッシュの刺激によって痛みを感じる可能性があるうえ、さらなる口内のトラブルにつながるおそれがあります。
特に、歯茎から出血するほどの歯肉炎や歯周病があるなら、まずは歯科クリニックで適切な治療を受けましょう。
ポイント⑤頻繁に使いすぎない
歯周病の予防に役立てたいからと言って、マウスウォッシュを使いすぎるのは禁物です。
頻繫に使いすぎれば、かえって口内環境を乱す事態にも陥りかねません。
口腔内には多くの細菌が存在しており、なかには害のない細菌や必要な細菌も一定数います。
そのため、マウスウォッシュを過剰に使用すると、必要な細菌まで殺菌してしまうというわけです。
口内環境を健やかに保つには、マウスウォッシュの使用は1日3~5回程度に留めておいてください。
マウスウォッシュとあわせて実施したい歯周病を予防する方法
ここからは、マウスウォッシュの使用とあわせて実践したい、歯周病の予防方法を紹介します。
日常的に意識すれば、歯周病をはじめとする口内のトラブルの予防に役立ちますよ。
関連記事:【歯をきれいにする方法】セルフケアのやり方や治療法を紹介
徹底的に歯磨きする
歯周病の主な原因は口の中に残っている歯垢なので、歯磨きを徹底してください。
歯磨きを行うべきタイミングは、就寝前と起床直後、そして食後です。
特に、就寝前は10分間を目安として、念入りに歯磨きする必要があります。
睡眠中は起床時よりも唾液の量が減り、細菌が繁殖しやすく、歯周病の発症の原因になるからです。
起床直後の歯磨きでは就寝中の細菌を除去し、食後の歯磨きでは食べカスを取り除くことで歯周病の予防につながります。
また、歯磨きの際は、歯垢をできるだけ残さないように、歯と歯茎の境目を重点的に磨きましょう。
歯と歯茎の境目に45°を目安に歯ブラシの毛先を当てて、あまり力を入れずに小刻みに動かすのがコツです。
歯間ブラシやデンタルフロスを使用する
歯磨きにプラスして、歯間ブラシやデンタルフロスを取り入れるのもおすすめです。
歯間ブラシは、持ち手の先に針金とナイロンの毛がついたブラシで、複数のサイズがあるのでご自身の歯のサイズに合ったものを選べます。
デンタルフロスは、ナイロンやポリエチレンといった繊維で作られた糸状のアイテムで、持ち手がついているものと、好きな長さにカットして使うものがあります。
どちらも歯ブラシでは届きづらい、歯と歯のすき間に残っている歯垢を取り除くことができるため、歯周病予防の心強い味方になってくれるはずです。
免疫力を高める
免疫力が落ちると、歯周病をはじめとする口内のトラブルが起きやすくなります。
睡眠と運動、食事のバランスがとれた規則正しい生活を心がけ、免疫力を高めることが大切です。
また、ストレスも免疫力の低下を招くおそれがあるため、趣味で気分転換を図ったり、友人や家族に話を聞いてもらったりして、ストレスをできるだけ発散させましょう。
ストレッチやウォーキングといった軽い運動や、音楽鑑賞などもおすすめですよ。
なお、タバコやアルコールは、歯周病のリスクを高めてしまうので、過剰摂取しないように心がけてください。
歯科クリニックで定期健診を受ける
歯周病を予防するには、歯科クリニックの定期健診を受診することも欠かせません。
定期健診では、口内の状態を確認してもらい、歯のクリーニングや、セルフケアだけでは落としきれない歯石の除去などを受けられます。
くわえて、歯磨き指導も受けられるので、ご自宅でのセルフケアを見直すきっかけにもなりますよ。
口内のトラブルがない状態であっても、3か月に1回程度を目安に歯科クリニックで定期健診を受け、歯周病の予防に努めましょう。
関連記事:予防歯科に通うメリットとは?具体的な内容もあわせて解説
歯周病を予防するには、歯磨きのあとにマウスウォッシュを取り入れてみましょう
本記事では、歯周病の予防にマウスウォッシュは役立つのかという疑問に対する答えや、正しい使い方を紹介しました。
マウスウォッシュは、口内をすっきりとさせられるオーラルケア用品です。
うまく使用すると、歯周病の予防に役立つものの、マウスウォッシュだけでは予防できないので、歯磨きをしっかりと行うことが何よりも重要です。
歯周病の予防にはマウスウォッシュと併用して、歯間ブラシやデンタルフロスを取り入れたり、歯科クリニックでの定期健診を受診したりしましょう。
コラム監修者
資格
略歴
- 1997年 明海大学 歯学部入学
- 2003年 同大学 卒業
- 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
- 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
- 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
- 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
- 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
- 2008年 医療法人社団世航会 設立
- 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
- 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
- 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
- 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
- 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系 入学