矯正用マウスピースの保険適用有無と費用の相場
口腔医療の発達にともない、近年はマウスピース型の矯正器具によっても歯列矯正治療を行えるようになりました。
矯正用のマウスピースの存在をすでにご存じの方も多いかもしれませんが、歯列矯正にあたって保険が適用されるのか否かは気になるところですよね。
本記事では、マウスピースを用いた矯正治療への保険適用有無や、費用感、費用を抑える方法を紹介します。
矯正治療を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
【基礎知識】マウスピースの概要と種類
マウスピースとは、歯に被せて使う医療器具の一種であり、歯列の矯正や保護、咬合改善を目的として使われます。
イギリスにおいてボクシング選手の口腔内をゴムのかけらで保護していたのが、マウスピースの起源です。
なお、マウスピースはその目的・用途によって、大きく3つに分けられます。
➀矯正用
矯正治療の選択肢の一つとして、本記事でもメインで取り上げる歯列矯正用のマウスピースがあります。
矯正と聞くと、金属製のワイヤーを歯に装着するイメージを持たれる方も多いかもしれませんが、マウスピースの装着によっても歯列矯正は可能です。
目立ちにくく、ご自身でも簡単に着脱が可能なので、心理的なハードルが低く、従来の矯正に抵抗がある方でも挑戦しやすいのが利点です。
こちらの記事では、見た目が目立たない歯科矯正の種類や特徴について解説していますので合わせてご覧ください。
関連記事:見た目が目立たない種類の歯科矯正はある?
②歯ぎしり改善用(ナイトガード)
就寝中の歯ぎしりの改善を目的とした、ナイトガードとよばれるマウスピースもあります。
市販されているキットを購入して自作もできますが、より確かな効果を得たいのであれば医療機関で製作するのが得策です。
③スポーツ用(マウスガード)
球技や格闘技などの接触を伴うスポーツにおいても、歯の欠損を防ぎ、保護するためにマウスピースが利用されています。
スポーツ用のマウスピースにも、市販のものと、医療機関で製作するタイプがありますが、お口へのフィット感はオーダーメイドの後者のほうが上です。
医療機関で製作したフィット感の高いものであれば、競技中に外れてしまったり、息ぐるしかったりという難点も気になりづらくなります。
矯正用マウスピースの製作には保険が適用されるのか?
マウスピースの製作は、基本的に保険の適用外です。
「歯並びをもっときれいにしたい」「歯を保護したい」といった希望からマウスピースの製作を検討される方も多くいらっしゃることでしょう。
しかし、これらは必ずしも治療が必要な疾病ではないので、多くの場合自由診療と見なされます。
それゆえ、原則として、製作費用は全額患者側の負担となっているのです。
それでも例外的に保険が適用されるケースがあるので、次の章でご紹介します。
矯正用マウスピースの製作に保険が適用される場合
矯正用マウスピースの製作にあたって、例外的に保険が適用される3つのケースは以下の通りです。
なお、保険適用内となる症例であっても、国が認可した施設で治療を行わない限り保険が適用されない点には留意しておきましょう。
➀疾患に起因した咬合異常
厚生労働省により指定された、疾患による咬合異常に該当する場合は、矯正用マウスピースの製作が保険適用となります。
該当する疾患は、厚生労働省のWebサイトで確認できるので、必要に応じて確認してみてください。
②永久歯萌出不全に起因した咬合異常
「永久歯萌出不全」を原因とする咬合異常が認められるケースでも、マウスピースの製作への保険適用がなされます。
永久歯萌出不全とは、乳歯が永久歯に生え変わるタイミングで、本来生えてくるはずの永久歯が生えてこない状態を指します。
これにより咬合異常が発生するので、矯正治療が必須と見なされるのです。
③手術を必要とする顎変形症
ほかにも、手術を要する重度の顎変形症の治療に際して、保険診療が認められています。
顎変形症は顎の骨の大きさや形に問題が見られる疾病であり、歯並びや咬合に異常をきたします。
そのなかでも手術が必要と判断されるほど深刻な症例においてのみ、マウスピース製作に保険が適用される決まりです。
マウスピースによる矯正治療の費用相場
矯正用のマウスピース製作の費用相場は、10万~110万円程度であり、内訳は下記の通りです。
マウスピースによる矯正治療の費用相場
項目 | 費用の目安 |
カウンセリング・診断料 | 0~5万円 |
マウスピース代 | 10万~100万円 |
リテーナー(保定装置)費用 | 0~5万円 |
合計 | 10万~110万円 |
費用は、マウスピース本体の製作費用と、検査・診察費用に大別され、さらにケースによっては矯正した歯並びが元に戻らないよう保持する装置の費用がかかってきます。
マウスピースの種類についての項目で記した、ナイトガードやマウスガードが数千円~1万円程度で製作できるのに比べると、矯正用のマウスピースの費用は高額といえます。
これは、矯正を可能にするために特殊な素材が用いられているほか、マウスピース製作にあたって専門の歯科医師が必要であり、その技術料などが含まれているためです。
矯正用マウスピースの製作費用を少しでも抑える方法
自由診療となるケースにおいて、矯正用マウスピースの製作費用を大幅に下げることは困難です。
ただし、ここで紹介する4つの方法によって、費用を多少なりとも抑えられる場合もあるので、マウスピースでの矯正治療をお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
方法➀治療費が低く設定されているクリニックを選ぶ
歯科クリニックによって、施術の費用は異なります。
そのため、いくつかのクリニックを調べつつ、もっとも安いところを選ぶというのは、一つの手です。
費用に違いが生じる理由は、各クリニックで検査・診察料の設定値や取り扱うマウスピースのメーカーが異なるからです。
クリニックの治療実績や、取り扱いメーカーなどを事前に調べたうえで、信頼できるクリニックへ矯正治療をお願いできればいうことはありませんよね。
方法②部分矯正で対応する
歯列のすべてを矯正するのではなく、部分的に矯正するという方法でも費用を抑えられます。
ただし、部分矯正は適用可能な症例が限られているため、初回カウンセリング・診察時に、クリニックへ可否を確認してみましょう。
方法③医療費控除を申請する
医療費控除とは、1年間に支払った医療費の総額が10万円を超える場合において、確定申告後に一部が還付される制度です。
マウスピースによる矯正治療は医療費控除の対象となるので、申請することで還付金を受け取れて、結果的に費用を抑えられます。
方法④モニターに応募する
クリニックで募集しているモニターに応募すれば、治療費が割引されることがあります。
クリニックは、モニターとなる患者の治療前後の写真を、Webサイトへ掲載したり、学会で使用したりします。
個人が特定されないよう配慮されているので、モニターに抵抗が無ければ、応募を検討してみてはいかがでしょうか。
医療用マウスピースの製作は、基本的に保険適用外です
今回は、矯正用マウスピースが保険適用になるのか否かという疑問にお答えするとともに、費用感や、費用を抑える方法もお伝えしました。
矯正用のマウスピースは基本的に保険適用外の扱いですが、永久歯萌出不全をはじめとした、一部の疾患の治療においては、保険適用となるケースもあります。
なお、マウスピースによる矯正治療の費用相場は、10万~110万円程度です。
費用を抑える方法としては、医療費控除の申請やモニターへの応募などが挙げられます。
ぜひ、信頼のおけるクリニックを探して、治療を依頼しましょう。
デンタルオフィス大阪梅田では、マウスピースを用いた矯正治療を行っています。
気になっている方は、まずはお気軽にご相談ください。
コラム監修者
資格
略歴
- 1997年 明海大学 歯学部入学
- 2003年 同大学 卒業
- 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
- 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
- 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
- 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
- 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
- 2008年 医療法人社団世航会 設立
- 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
- 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
- 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
- 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
- 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系 入学