糖尿病の方がインプラント治療を受けるリスクと注意したいポイント

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糖尿病は、糖質の代謝がうまく行われずに血糖値が高い状態が続いてしまう病気です。膵臓の細胞が障害を受けているために起こる1型と、後天的に罹患する2型が存在します。

糖尿病は世界的にも広く知られ、罹患者の多い病気です。この記事では、原因と症状についてそれぞれ紹介しながら、インプラント治療との関係やリスクについても解説しています。糖尿病とインプラントの関係をチェックしたい方は、ぜひ参考にしてください。

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糖尿病とは?原因と症状を易しく解説

糖尿病は、膵臓で作られるホルモン「インスリン」が十分に働かないために、食事から摂取した糖質をうまく代謝できず、血液の中のブドウ糖の濃度が増えたままになる病気です。

血糖値は通常、インスリンによって一定の濃度に収まっています。しかし、十分に働かないことで血管が次第に傷ついていき、腎不全や心臓病といった血管性の重い病気に罹患しやすくなります。

糖尿病でもインプラント治療はできるのか?

糖尿病が進行してくると、体に元から備わっている抵抗力が少しずつ低下していきます。血管がもろくなるために、循環に関わる機能全体が阻害されていくためです。

しかし、糖尿病にかかっていても軽症であれば、基本的にインプラント治療は可能です。外科手術をともなうインプラント治療も、薬の服用と食生活・生活習慣の改善で糖尿病の改善に取り組み、健康状態が安定していれば治療は可能とされます。

一方で、糖尿病のリスクには日頃から備える必要があります。具体的には、歯周病・感染症・糖尿病の悪化・骨吸収の4点です。

関連記事:インプラントができない人とは?対処法とともに紹介

糖尿病の方がインプラント治療を行うリスク

糖尿病にかかっている方がインプラント治療を行う際、以下の4つのリスクに注意しなければなりません。

リスク①歯周病になる可能性

インプラント手術は歯根の奥、歯槽骨にインプラント体を埋め込んで、その上にアバットメント・上部構造を立てていく手術です。埋め込みの際に歯肉を切開しなければならないため、抵抗力が落ちている糖尿病の患者さんにとっては、歯周病に罹患するリスクがあります。

リスク②感染する可能性

歯周病と同様に、感染症のリスクもあります。自然界には数多くの細菌が存在し、抵抗力が落ちたところで感染すると、発熱や体調不良、消化器に関わる不調をきたすおそれがあります。

インプラントの傷口から「インプラント周囲炎」になったり、インプラントを埋め込んだ歯の周辺に感染が広がったりする可能性もあります。

リスク③低血糖になる可能性がある

糖尿病の症状が重いままインプラント治療を受けると、治療の前後で食事の制限がかかるために、低血糖になるおそれがあります。

内科の治療を行い、体調を整えて糖尿病の主治医の判断も仰ぎながらインプラント治療を進めるようにしましょう。

リスク④骨吸収を促進してしまう

骨吸収とは、古くなった骨が破骨細胞の働きによって分解される仕組みです。

人間の骨は骨吸収と骨形成を繰り返して維持されていますが、糖尿病の患者さんはインスリン抵抗性や高血糖による酸化ストレスが骨質に影響を与えるリスクがあり、骨吸収が促進されるおそれがあります。

参照元:国立国際医療研究センター・糖尿病情報センター「骨粗鬆症」

血液の循環が悪くなる

糖尿病は高血糖によって血液の循環が悪化する病気です。インプラントの手術によってできた傷からは出血や腫れがみられますが、糖尿病の方はなかなか創部や傷跡が治りにくく、治療期間が長引く場合があります。

こちらの記事では、インプラント治療にかかる期間の目安や治療の流れを解説しています。合わせてご覧ください。
関連記事:インプラントの治療期間はどのくらい?治療の流れも紹介

糖尿病の方がインプラント治療を受ける際の血糖値の基準

糖尿病の方が、インプラント治療を受ける際に意識しておきたい血糖値の基準について、コントロールの方法とあわせて確認していきましょう。

血糖値の基準

術前の血糖値の指標としては、空腹時の血糖値130mg/dl未満(食後2時間血糖値180mg/dl未満)かつHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)は6.5%未満が望ましいとされています。

インプラント治療を考えている方は、糖尿病の主治医とよく相談のうえ、血糖値を基準内に収めて、手術が受けられることを確認したうえで検討を行ってください。

参照元:日本臨床麻酔学会vol.32「糖尿病患者の周術期管理」

治療前の血糖値コントロール方法

インプラントの手術前には、必ず糖尿病の内科治療を行って健康管理を行ってください。

血糖コントロールによって体調を安定させ、インプラント治療に臨みましょう。局所麻酔薬に含まれる成分にも高血糖を誘発するものがあるため、注意が必要です。

方法①食事療法

血糖コントロールでもっとも大事なものが食事療法です。カロリーの計算とともに、必要な栄養素は摂取しながら、食べすぎに注意しましょう。

方法②運動療法

運動不足の方は主治医のアドバイスに従って意識的に体を動かし、代謝を上げる運動療法を行ってください。食事療法と組み合わせて体調をうまくコントロールし、インプラント治療を目指しましょう。

方法③薬物療法

血糖コントロールのうち、食事・運動に加えて忘れずに行うものが薬物療法です。服用中の薬は用法・用量を守って服用を続け、食事や運動と組み合わせて健康維持に繋げましょう。

糖尿病の方がインプラント治療を受ける際の注意点

食事・運動・薬物による血糖コントロールに加えて、糖尿病に罹患している方がインプラント治療を受ける際には、以下の3点に注意しましょう。

【糖尿病の方がインプラントを受ける際の注意点】

  • 糖尿病の主治医の判断に従う
  • 体調不良中に治療を受けない
  • 虫歯や歯周病の治療を行う

まずは主治医の判断にしっかりと従い、体調不良や血糖値が思わしくないときにはインプラント治療は控えてください。

口腔内を清潔にするために、手術前は虫歯や歯周病の治療を受け、お口の中にトラブルがない状態でインプラント治療に臨みましょう。

糖尿病の状況や主治医の判断に従う

いかがでしたでしょうか?

糖尿病の患者さんがインプラント治療を受ける際に意識しておきたいポイントとして、まずはご自身で血糖のコントロールを行い、糖尿病の主治医にインプラント治療の件を説明して、体調や血糖値が治療に適しているかの判断を仰ぎましょう。

大阪の「デンタルオフィス大阪梅田」は、予防歯科から口腔外科まで幅広く対応をしています。駅からのアクセスもしやすく、どのようなお口の悩みでも相談可能です。ぜひインプラント治療を検討されている方は当院までお越しください。

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コラム監修者

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中島 航輝
なかじま こうき

役職

理事長(梅田院の院長)

略歴

  • 1997年 明海大学 歯学部入学
  • 2003年 同大学 卒業
  • 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
  • 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
  • 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
  • 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
  • 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
  • 2008年 医療法人社団世航会 設立
  • 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
  • 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
  • 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
  • 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
  • 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系  入学
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