虫歯治療における歯の詰め物・被せ物の種類を紹介

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虫歯治療を控えている方のなかには「治療した箇所が目立ったらどうしよう」と不安に思われている方もいらっしゃるでしょう。
しかし、ご安心ください。
使用する詰め物・被せ物の種類によっては、天然歯とほとんど見分けがつかないほど、自然に見せることができます。

今回は、虫歯治療で使われる詰め物・被せ物の種類やその特徴を紹介します。
選ぶ際のポイントも解説しますので、納得できる補綴物を選びたい方はぜひご一読ください。

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歯の詰め物・被せ物とは?

歯の詰め物・被せ物は、どちらも歯の失った部分を補う補綴物(ほてつぶつ)ですが、失った部分の大きさによって使い分けられます。

詰め物は「インレー」ともよばれ、虫歯を削って空いた小さな穴を埋めるために使用されます。
一方で被せ物は「クラウン」とよばれ、虫歯の進行がひどく、歯の大部分を失っていたり、歯の神経を抜いたりした場合に適用される補綴物です。

虫歯治療の際に使う歯の詰め物の種類

詰め物とひとくちに言ってもいくつか種類があり、ある程度ご自身の希望で選択できます。
ここからは、虫歯治療の際に使用する歯の詰め物の種類を、それぞれのメリット・デメリットとともに紹介していきます。

銀歯

詰め物と聞くと、真っ先に銀歯を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
銀歯は素材が金属なので耐久性に優れ、長期間使用できるのがメリットで、実際、日本では1960年代から現在に至るまで長きにわたり使用されています。
保険適用なので、安く治療を受けられるのも、広く利用されている一因です。

しかし、口を開けたときに銀色が目立つことや、金属成分が溶けだして歯ぐきを黒くすることから、審美性にこだわる方にはあまりおすすめできません。
また、溶出した金属が原因となって、金属アレルギーを引き起こすリスクもあります。

コンポジットレジン

コンポジットレジンは白いプラスチックでできた詰め物で、「レジン」や「CR充填」という呼び名もあります。
柔らかい状態の材料を歯に直接塗って成形し、専用のLEDの光を照射して固めます。

ほかの詰め物に比べて歯を削る量が少なくて済むほか、保険適用でありながら、白くて治療した箇所が目立たない点が魅力です。
ただし、経年劣化での着色や離脱、また食いしばりで歯に強い力が加わったことによる破損などが起こる可能性があります。

ゴールド

金合金や、金にプラチナをくわえた白金加金合金などでできた詰め物をゴールドといいます。
金属なので強度が高いうえに、銀歯よりも溶け出しにくい素材です。
さらに、ゴールドは歯とほとんど同じ硬さなので、噛み合わせる歯を傷つけることもありません。

しかし、見た目が金色で目立ちやすい点や、保険外治療で費用が高くつくのがデメリットです。

セラミック

セラミックは、ご家庭でお使いのお皿や花瓶などと同じ、陶器でできています。
セラミックの魅力は、なによりもその審美性にあります。
天然歯のような白さと透明感を再現できるため、治療した箇所が目立ちません。
素材が陶器なので、金属の溶出や金属アレルギーが気にならないのも嬉しいポイントです。

一方で、治療の際に歯の広範囲を削る必要があったり、保険適用外で費用が高額になったりする点は留意しなければなりません。

こちらの記事では、セラミック治療について解説していますので合わせてご覧ください。
関連記事:歯のセラミック治療とは?メリット・デメリットも紹介

ジルコニア

ジルコニアはセラミックの一種で、もとは宝飾品にも使用されていた素材です。
その高い耐久性から、人工ダイヤモンドともよばれ、食いしばりや歯ぎしりのある方でも、破損を心配せずにお使いいただけます。

デメリットはセラミックと同じく、天然歯を大幅に削って治療しなければならない点や、保険適用外のため治療費が膨らむ点です。

関連記事:虫歯の進行段階と適切な治療方法を徹底解説

虫歯治療における歯の被せ物の種類

続いては、被せ物の種類を紹介します。
すでに解説した、銀歯・ゴールド・セラミック・ジルコニアは被せ物にも使用されていますが、特徴やメリット・デメリットが共通しているので、ここでは割愛します。

硬質レジン前装冠

硬質レジン前装冠は、金属のフレームにプラスチックの樹脂をコーティングした被せ物のことです。
保険適用の治療は審美性が低い傾向があるなか、硬質レジン前装冠は保険適用であるにもかかわらず天然歯に近い色のコーティングがあるおかげで、自然な見た目に仕上がります。

ただし、保険適用外のセラミックと比較すると審美性や耐久性の面で劣るほか、長年使用していると人工歯の部分が変色する可能性があります。

CAD/CAM冠

プラスチックにセラミックの粉末を混合した素材でできた被せ物を、CAD/CAM冠といいます。
コンピューターでデザインされた歯のデータをもとに、ブロックを歯の形に削り出して作られます。

CAD/CAM冠のよいところは、硬質レジン前装冠と同様に、保険適用でありながら審美性も高い点です。
金属を使っていないので、金属アレルギーになる心配もありません。

しかし、歯ぎしりや食いしばりが強い場合は破損するリスクがあり、金属の被せ物よりも外れやすいという難点もあります。

メタルボンド

金属のフレームにセラミックを貼り付けた被せ物が、メタルボンドです。
土台部分に金属が使われていることで被せ物としての強度が高く、咀嚼時に強い力がかかる奥歯の治療にも適しています。
セラミックなので、もちろん審美性も抜群です。
ただし、フレームの金属が若干透けて黒っぽく見えるケースもあります。

また、金属アレルギーの原因になったり、セラミック部分が欠けたりするおそれがある点には注意が必要です。

歯の詰め物・被せ物を選ぶ際に確認する4つのポイント

ここまで、歯の詰め物・被せ物の種類や特徴を紹介してきましたが、「結局どれを選んだらいいのかわからない」とお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
以下で、詰め物・被せ物を選ぶ際のポイントを解説しますので、ご自身に合った素材を見つける際の参考になさってください。

ポイント①保険が適用されるか

歯の詰め物・被せ物は、種類によって保険治療か否かが分かれます。
保険適用外の治療は10割が自己負担になるぶん、費用が高額になってしまうため、できる限り治療費を抑えたい方は保険適用の素材を選びましょう。

保険適用の詰め物・被せ物は、以下のとおりです。

保険適用の詰め物・被せ物の例

  • 銀歯
  • コンポジットレジン
  • 硬質レジン前装冠
  • CAD/CAM冠

コンポジットレジンや硬質レジン前装冠、CAD/CAM冠なら、費用を抑えながら高い審美性も叶えられますよ。

ポイント②金属アレルギーか

銀歯やゴールドは、金属アレルギーの方はお使いいただけません。
口内の金属が原因でアレルギーが起こると、以下のような症状が出てしまいます。

詰め物・被せ物による金属アレルギーの症状

  • 顔や身体に発疹ができる
  • 舌がただれる
  • 手足の皮がめくれる
  • 頭痛や立ちくらみがする
  • 味を感じづらくなる

なお、現在は金属アレルギーでない方も、長年金属製の詰め物・被せ物を使うことで、アレルギーを発症するおそれがあります。
ご不安であれば、プラスチックやセラミック製の補綴物を選びましょう。

ポイント③審美性が高いか

「人前に出る職業だから見た目をきれいにしたい」「治療のあとを気にせずに思い切り笑いたい」といったご希望をお持ちの方には、審美性の高い治療がおすすめです。

銀歯やゴールドは、詰め物・被せ物の色が天然歯とかけ離れているので、見た目に違和感が出てしまう傾向があります。
しかし、色が白く透明感のあるセラミックやジルコニアなどであれば、天然歯とほとんど見分けのつかない、美しい歯を手に入れられます。

ポイント④機能性に問題がないか

耐久性の高さや、劣化のしにくさなどの、機能性もチェックしておきたいポイントです。
たとえば、「奥歯は食べ物がしっかりと噛めるように耐久性の高いものを選ぶ」というふうに、治療する場所によって選択する種類を変えるのも一つの手です。
ご自身の求める機能性と審美性のバランスを考えて、ニーズに合う治療方法を選択しましょう。

歯の詰め物・被せ物が取れた際にやってはいけないこと

詰め物・被せ物は、経年劣化や虫歯の再発、接着不良などが原因で外れることがあります。
万が一外れてしまった際は、速やかに歯科医院を受診するのが一番ですが、都合によりすぐに受診できない場合はどのような点に注意したらよいのでしょうか。
ここからは、詰め物・被せ物が外れた際のNG行動を3つ紹介します。

詰め物・被せ物を捨てる

詰め物・被せ物が外れると、もう使えないと思って捨ててしまう方もいらっしゃいます。
しかし、外れた詰め物・被せ物は再利用できる可能性があるため、捨てずに保管しておきましょう。

ティッシュに包むと繊維が付着してしまうので、清潔なプラスチックの容器やポリ袋などに入れておくのがおすすめです。

接着剤で無理やりくっつける

外れた詰め物・被せ物を、ご自身で接着するのは厳禁です。
歯科用でない接着剤を使用すると、口内に炎症が起こる可能性があります。
また、誤った接着は詰め物・被せ物をさらに傷つけたり、噛み合わせる歯に悪影響を及ぼしたりしかねません。

たとえ見た目が気になる場合でも、ご自身で無理やり処置するのはやめましょう。

詰め物・被せ物を取れたまま放置する

仕事や育児など、やむを得ない事情で受診が遅れることもありますよね。
しかし、長いあいだ放置すると、詰め物・被せ物が外れた箇所から細菌が繫殖し、虫歯の再発につながります。

受診するまでは、極力細菌の繫殖を避けるために、詰め物・被せ物があった箇所で食べ物を噛むことや、舌で触ることはお控えください。

費用や審美性、機能性を考慮して自身の希望に合った詰め物・被せ物を選ぼう

いかがでしたでしょうか。

詰め物・被せ物の特徴は、金属やプラスチック、セラミックなど、種類によって異なります。
保険適用か否かで費用が大きく変わるので、治療費を抑えたい方は、まず保険適用のものに絞りましょう。
絞った選択肢のなかから、審美性と機能性のバランスがよいものを選ぶと、ご自身のニーズに合った補綴物を見つけられます。

ただし、口腔内の状態によってはご希望の詰め物・被せ物が使用できない可能性もあるため、歯科医師との相談は不可欠です。

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コラム監修者

監修者の写真

中島 航輝
なかじま こうき

役職

理事長(梅田院の院長)

略歴

  • 1997年 明海大学 歯学部入学
  • 2003年 同大学 卒業
  • 2003年 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座 摂食機能保存学分野 博士課程 入学
  • 2006年 顎咬合学会 特別新人賞
  • 2007年 同大学院 修了 歯学博士所得
  • 2007年 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 医員
  • 2007年 世田谷デンタルオフィス 開院
  • 2008年 医療法人社団世航会 設立
  • 2013年 明海大学歯学部 保存治療学分野 非常勤助教
  • 2014年 明海大学歯学部 保存治療学分野 客員講師
  • 2015年 昭和大学歯学部 歯科矯正学分野 兼任講師
  • 2016年 明海大学歯学部 補綴学講座 客員講師
  • 2020年 日本大学医学部 大学院医学総合研究科生理系  入学
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